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【誰そ彼の陽】プレイ後の感想とレビュー/思わず泣いてしまうフリーノベルゲーム

鏡みら様によるフリーノベルゲーム「誰そ彼の陽」をプレイした感想を書いていきます。こちらのゲームはノベルゲームコレクションにてDL可能で、ブラウザでプレイすることもできます。ノベルゲームを探している方におすすめですので、どうぞ最後まで読んでいって下さい!

ノベルゲームコレクションのURLはこちら↓

※この記事はゲームのネタバレを含みますのでご注意下さい。

「誰そ彼の陽」あらすじ

春陽は4年ぶりに元恋人の望海から1通のメッセージを受け取った。その内容は「私ね、結婚するの」というもの。今でも望海への想いを断ち切れずにいる春陽はメールの送信ボタンを押せずにいた。望海との出会いを振り返り、春陽は思い出の場所にもう1度向かう。そこで春陽を待っていたものとは…?

ゲームの操作感

このゲームはタップ操作もしくはマウス操作で会話が進み、選択肢を選ぶ場面はありません。エンディングも分岐なしの1種類です。本編以外に「望海Side」という別編も存在しますが、こちらをプレイするには本編を読んだ人にのみわかる合言葉が必要です。「望海Side」の中で本編の真相が明かされます。

◆良かったところ◆
・背景、BGM、セリフの雰囲気が合っていて物語に入り込みやすい
・バックログがあるので少し前の会話を読み返すことができる
 
◆少し残念なところ◆
・マウス操作で会話が進められるので、同様に会話も戻せる仕様だと良かった

ストーリーの見どころ

個人的に、このゲームの見どころは以下の3つです。これらのシーンからは、望海と春陽の感情をリアルに味わうことができます。

1. 望海が春陽に別れを切り出す

2. 病気の進行により老女になった望海が春陽と小木浜で再会する

3. 望海からのメールに春陽が返信する

望海が切り出した別れ

クロムウェル症候群になった望海は、病気がある程度進行したタイミングでいきなり春陽に別れを切り出します。その理由は春陽に幸せになってもらうためです。

本当に春陽の幸せを望むなら別れた4年後にわざわざ嘘のメッセージなんて送らない方がいいのに、それでも送ったメッセージからは「本当は春陽に自分を忘れて欲しくない」という気持ちや「春陽に別れを告げずにずっと一緒にいればよかった」という後悔があふれていて、とても切なくなりました。

小木浜での再会

死が近付きつつある望海は最期の思い出にと行った小木浜で、なんと春陽に再会します。春陽も望海を忘れられず、望海からのメッセージをきっかけに小木浜に来ていました。老女(望海)と春陽が隣同士に並び、望海が「あなたには幸せになって欲しい」と伝える…2人は本当は再会しているのに春陽は気付かないのがもどかしいです。

最後まで望海は病気で姿が老婆になっていること、結婚するなんて嘘で、ずっと一緒にいたかったことを言えませんでした。望海の選択は間違いではないかもしれないけど、本当のことを全て打ち明けていればきっと結末は変わったはずです。それなのに望海を孤独から救ってくれた春陽を手放し、自分一人で真実を抱えたまま消えていく望海には、今からでも考え直して欲しいと思ってしまいました。

春陽のメッセージ

宛先:望海

Cc/Bcc:

件名:

 

結婚おめでとう

幸せになってね

 

今でも愛してる

 

引用元:「誰そ彼の陽」ゲーム内メッセージ文(URL: https://novelgame.jp/games/show/6037

望海Sideのエンディング後、春陽が望海に返信しようとしたメッセージが表示され、最後の一文を消して送信されたことがわかります。望海への想いや後悔は残っていても、それらを全て過去にして前を向き生きていこうとする春陽の覚悟が伝わりました。真実を知らない方が幸せか?それとも真実を知った方が幸せか?2人にとってどちらが正しかったのかを非常に考えさせられました。

 

できれば2人に救いがあって欲しかったと思いました。望海がどこかで全てを打ち明けていれば、きっと春陽は理解して受け入れてくれたはずです。たとえ2人が別れることになったとしても、お互いに後悔しない最後を迎えることができたような気がします。

おわりに

感動するゲームを探している人、泣けるようなノベルゲームが読みたい人に特におすすめしたいゲームです。私は望海Sideも含めて40分くらいでプレイできましたので、誰でも手軽に読めるボリュームだと思います。

ゲーム序盤は学生の恋愛と別れを描いたシンプルなストーリーかと思いきや、望海Sideの中盤あたりから一気に引き込まれ、一文一文を読むのが必死になってしまうくらいの内容でした。「ストーリー中のあの描写が伏線だったのか」と、真実を知った時にわかる感覚は鳥肌ものでした。ぜひこの感覚をプレイして体験してみて下さい。

 

最後までお読み下さりありがとうございました。