今回は鏡みら様による「PetrichoR」(ペトリコール)をプレイした感想とレビューを書いていきます。ペトリコールとは雨が降った日に地面から上がってくる匂いのことだそうです。
DLサイト(ノベルゲームコレクション)
ちなみに鏡みら様は「誰そ彼の陽」というノベルゲームも制作されていて、こちらも非常に感動する作品です。「誰そ彼の陽」の感想とレビューも記事にしています。
この記事はこんな方におすすめです!
●「PetrichoR」の感想とストーリーの見どころを知りたい方
● プレイ時間やエンディング分岐について知りたい方
● ゲーム評価を知りたい方
※ゲームのネタバレを含むのでご注意下さい。
「PetrichoR」あらすじ
会社員の「吉本弥一」は恋人である花木奏美へのプロポーズを決意するが、その当日に彼女は書き置きを残して失踪してしまう。弥一は探偵を雇って彼女を探すが、その先で奏美の隠された過去について知ることになり葛藤していく…。
ゲームの特徴・評価
【操作感・特徴】
・登場人物である「弥一・美結(奏美)・玖音」の3人の視点から見た短編チャプター+プロローグ&エピローグの12個で構成されている。
・1チャプターは5~6分で読むことが可能で、全体のプレイ時間は1時間程度。
・エンディングは分岐なしの一種類。
【ゲーム評価】
◆良かったところ◆
・プロローグとエピローグのセリフ部分がボイス付きのため、会話のニュアンスが伝わりやすく登場人物に感情移入しやすい。
・プレーヤーは第三者的な視点で見ることができ、物語の全体像を把握しやすい。
◆少し気になったところ◆
・セリフの流し読みのようなエフェクトがやや読みづらい。
ストーリーの見どころ
弥一・美結(奏美)・玖音それぞれの視点から語られる物語を読み進めることでわかる、美結の過去を中心に奔走した弥一と玖音の行動にとても感動していまいます。
玖音の願い
玖音は美結を守るために人を死なせてしまうのですが、共に責任を取ろうとした美結を巻き込まないように策を立て、途中で記憶喪失になった美結に新しい名前を与え別の人間として生きていけるように手を尽くします。さらに美結がいずれ記憶を取り戻して自分を探しに来ることを予測した上で、今後の美結の人生自分が関わらずに済むようにしておくほどただ美結の幸せだけを想って行動するところに、深すぎる愛情を感じます。そして一番の見どころは、約20年後に偶然美結と玖音が再会するシーンです。
人違いだと言われればそれ以上確かめる術は無い
彼は背を向けて歩き出そうとした
人違いだったとすれば申し訳ないかもしれないが今、伝えられなければきっともう2度と伝えられない
美結:「本当に、ごめんなさい。それと、ありがとう」
彼は立ち止まり
また1泊、時間を置いて問いかけた
???:「あなたは、今、幸せですか?」
美結:「はい」
彼は晶乃の頭を優しく撫でると、こちらを振り返ることなく歩き出した
引用元:「PetrichoR」ゲーム内登場人物のセリフ(URL: https://novelgame.jp/games/show/8314)
20年も経っているのに即座に人違いだと答えたことからは、一人で罪を償い美結の元から去り、「美結の幸せのために自分は関わらない」と決めた玖音の強い覚悟が見て取れました。「今、幸せですか?」の一言に、罪を償っている間もずっと美結が幸せに暮らしているかどうかを気にかけ続けていた玖音の想いの全てが詰まっているように思います。その一番大事な部分だけを聞いて潔く去っていく玖音があまりにもかっこよすぎました。
美結の過去を受け入れた弥一
玖音の強い想いや覚悟に目が行きがちなストーリーですが、弥一も記憶喪失の美結と共に暮らし、偽名を使っていたことや美結の過去を知ってもなお現実と向き合い美結と家族になりました。記憶を失っていた「花木奏美」も、記憶を取り戻した「鉢川美結」も好きになり受け入れた弥一の愛情も相当に深いものではないでしょうか。本当に美結は玖音からも弥一からも愛されていたのだとわかります。
おわりに
1つのチャプターは短めですが全12章とそこそこボリュームあるストーリーですので、気軽に読めつつも読みごたえのある作品でした。サスペンス要素がありつつも切ない群像劇が読めるゲームをプレイしたい方に特におすすめです!
最後までお読み下さりありがとうございました。