はことふね

主にゲームのレビューや考察をしています。

MENU

【モノクローム・モノローグ】プレイ後の感想とレビュー/2つの視点が交差するサスペンスノベルゲーム

※本ページにはプロモーションが含まれている場合があります。

今回は落柿様よる「モノクローム・モノローグ」というサスペンスノベルゲームを紹介し、そのレビュー・感想を書いていきたいと思います。

この記事はこんな人におすすめです!

●ハラハラするようなサスペンス系のノベルゲームを探している人

●「モノクローム・モノローグ」のストーリーの感想が知りたい人

●このゲームの評価を知りたい人

※この記事はゲームのネタバレを含みますのでご注意下さい。

「モノクローム・モノローグ」あらすじ

とある廃ホテルでは賞金をかけた逃走ゲームが開催されていた。最後まで逃げ切った者に与えられる賞金を手に入れるため、10人の「逃走者」が「捕獲者」たちから逃げる。

その中で突然一人の捕獲者が逃走者たちを襲い始め、会場はパニックとなってしまう。

逃走者たちは犯人から逃げ切れるのか?そして犯人の目的は何なのか?「命懸けのゲーム」が今、繰り広げられる…。

「モノクローム・モノローグ」は何でプレイできる?

このゲームはノベルゲームコレクション・Freemでプレイすることが可能です。

ノベルゲームコレクション

Freem!

モノクローム・モノローグ:無料ゲーム配信中! [ふりーむ!]

ゲームの特徴・評価

操作感・特徴

・プレイ時間は1時間程度
・選択肢を選ぶ場面があるものの、エンディングは1種類。
・2人の参加者それぞれの視点「A」と「B」の物語が交互に展開され、その内容から得られる情報をもとに事件の真相を解き明かす。
・本編終了後に犯人視点のストーリーと逃走者「5番」の事件後のストーリーも読むことが可能。

ゲーム評価

◆良かったところ◆
・立ち絵無しでもセリフ・効果音・画面から登場人物たちの姿や様子が想像できる
・章の区切り等に関係なく最初から最後までのストーリーログを確認できる

 

◆少し気になったところ◆
・選択肢を選ぶ順番などによってエンディング分岐があるともっと嬉しい

ストーリーの見どころ

本編・追加ストーリーの全てを読み終わることで気付けるトリックや登場人物の心理描写がこの作品の見どころです。

犯人の心理描写

この逃走ゲームは「安心安全なスリル」を楽しむために高額な参加費用を払う人が参加しており、逃走者たちは必死で生活している犯人のような人間を見下す心無い発言をします。そうやって参加者が無意識のうちに犯人の激しい怒りを買ってしまったことをきっかけに、犯人は罪を重ねてしまいます。

さらに犯人は母親の虐待によって心身共に深く傷付けられた過去があり、その記憶と「母親の目」という根深いトラウマが犯人の精神の不安定さにつながっています。それは犯行に反撃してきた逃走者の女性の姿が母親の姿と重なるほどです。

僕を憎悪の目で睨みつけ、傘を振りかざす。振り下ろす。その女の目は、僕が知るものとよく似ていた。

引用元:「モノクローム・モノローグ」ゲーム内セリフ(URL: https://novelgame.jp/games/show/7009

犯人が参加者に対してどうしようもないほどの怒りと衝動を感じた様子がとてもリアルで、過去を思い出して怯え不安定になる様子が痛ましいです。犯人のしたことは絶対に許されませんが、誰しもが知らず知らずのうちに他者を傷付けているかもしれないこと、そしてそのような理由から起こってしまう事件も実際にあるということを改めて考えさせられました。

対照的な背景色

犯人の視点は常にモノクロなのに対して逃走者の視点はカラー(もしくはうっすらと色がついている)になっていることもあり、背景の色が対照的です。犯人の世界が常にモノクロなのは、もともと色の識別が難しいだけでなく、過去に負った精神的なダメージにより世界から色が失われたように見えていた部分も大きいと思われます。さらにこの背景の色は登場人物の精神状態にも関連しています。通常の状態=色がついている、殺意や逃げたいという強烈な負の感情に駆られた時=モノクロという、犯人と同じような精神状態に陥った時に逃走者側の世界もモノクロになってしまうという仕掛けに気付いた時は感動しました。

逃走者「5番」の心理描写

逃走者である「5番」の男性の視点にはモノクロとカラーの両方があります。犯人の襲撃を受けて「怒り・恐怖・緊張」を強く感じる過酷な状況に追い込まれた時や、他者の無神経な言葉や態度によって一瞬強い負の感情がこみ上げた時に、世界が犯人と同じようなモノクロになってしまいます。特に「5番」が編集者の無神経さにより強い怒りを感じてモノクロの世界の中、心の中で黒いセリフを吐くシーンは、被害者さえ一瞬で犯人と同じ加害者の思考に変わりうる怖さを感じました。

おわりに

本編の中で「どういうことだろう?」「この後どんな展開が?」といったサスペンスならではの緊迫感を味わえるだけでなく、追加ストーリーで真相に辿り着いた時、登場人物の心情にはっとさせられてしまう作品です。

サスペンスノベルゲームが好きな方や、ゲーム内に仕掛けられたトリックを楽しみたい方におすすめですので、気になった方はぜひプレイしてみて下さい!

 

最後までお読み下さりありがとうございました。