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【公衆電話】レビュー・見どころ紹介/3枚の10円玉を駆使する脱出ゲーム

※本ページにはプロモーションが含まれている場合があります。

今回は加藤 匠様による「公衆電話」のレビューとストーリーの見どころを紹介していきます。

このゲームは10円玉3枚を使って公衆電話ボックスからの脱出を目指すゲームです。

この記事はこんな人におすすめ!

●ちょっと不思議な脱出ゲームに興味がある人

●やり込み要素のある脱出ゲームをプレイしてみたい人

●「公衆電話」の評価やストーリーの考察を知りたい人

※この記事はゲームのネタバレを含みますのでご注意下さい。

「公衆電話」あらすじ

目が覚めると主人公の男は公衆電話ボックスに閉じ込められていた。持っているのは10円玉が3枚のみ。3回しか通話できないという状況の中で、自分を助けてくれそうな人に電話をかけていくしかない。はたして男は無事に脱出できるのだろうか?

「公衆電話」は何でプレイできる?

このゲームはノベルゲームコレクションでプレイ可能です。

ゲームの特徴・評価

10円玉3枚で主人公を助けてくれる人を探す脱出ゲーム

・ゲームのプレイ時間は40分程度。

・エンディングは全7種類。(筆者が見つけた数なので他にもあるかもしれません)

・プレーヤーは3回だけ公衆電話で好きな番号にかけることができる。

基本操作は公衆電話のボタンを押すだけ

主人公「佐藤直樹」は3枚の10円玉を1枚ずつ使って3回電話をかけることができます。3回とも同じ番号にかけるのも、違う番号にかけるのもプレーヤーの自由です。必要な操作は番号を押すだけで、10円玉を全て使い切ったら何かしらのエンドに行き着いてすぐに終了するため、途中セーブ機能はありませんが比較的周回しやすいゲームだと思います。

進めるほどに攻略のヒントが明かされていくシステム

このゲームは何の番号情報もなく始まるため、1週目は適当に番号を押すか110番にかけるかくらいの選択肢しかありません。ですが周回を繰り返すうちに実家や友人の番号など、攻略する上で電話をかけてみるべき番号情報が少しずつ明かされていきます。また辿り着くエンディングごとに1つの数字を入手することができます。数字を全て手に入れた時、真エンディングに辿り着くための電話番号を知ることができるという、周回を重ねるごとに確実に真実に向かって進んでいるという感覚と達成感を味わうことができる要素があります。

ストーリーの見どころとエンディングの考察

主人公が今までの生き方を見つめ直す

ストーリーのメインは、公衆電話ボックスに閉じ込められた主人公が家族や友人たちへ助けを求める電話を通して、今までの生き方・他者との関わり方を見つめ直すところです。その様子を見ていると、自分の過去の行動や他者との関わり方についても思わず一度思い返してしまいます。

主人公は自分の夢を叶えることに精一杯で家族や友人との関係性を疎かにしており、それが理由で友人たちに電話で助けを求めても断られます。主人公がやってきたことは冷たく決して良いとは言えないものの、友人たちと疎遠になった理由は主人公側では推し量ることのできない事情や事故的に起こったものもありました。私たちが他者と関わる中でも普通に起こりそうな内容なので、誰しもが「もし自分が主人公と同じ状況に置かれたらどうするだろうか?」と考え込んでしまうのではないでしょうか。

そんな主人公が「自分がやってきたことは本当に正しかったのか?」と自問自答し、公衆電話に備わった「10年前のその電話番号に電話ができる」という仕組みを利用して、過去の自分に「夢を頑張るだけでなく、家族や友人など周囲との関わりも疎かにしないで欲しい」と真っ直ぐ語り掛ける姿には心を打たれました。

佐藤直樹の真実と他の結末との関係性について

電話ボックスに閉じ込められた主人公「佐藤直樹」の真実は、車に轢かれて入院しており植物状態になる可能性のあった危険な状態でした。真実に気付き病院のベッドで目覚めるのが真エンディングのため、他のエンディングで過去を改変して電話ボックスから脱出した出来事も全て夢なのではないでしょうか。

そして真エンディングに辿り着くのは、過去を改変して脱出した他のエンディングも夢として経験済みで、何度も夢の中で公衆電話に閉じ込められ脱出するというループを繰り返した結果だと考えています。なぜなら病院で主人公が目覚めた時、今まで電話をした家族や友人との関係性が今どうなっているのかを気に掛ける描写があるからです。もし全てのエンディングが独立しており病院に電話した際の記憶しか保持していないのであれば、他者との関係性を気にする言葉は出てこないと思います。

6つのエンディングから得られる番号の組み合わせが真エンディングに導いてくれるという仕組みは、事故をきっかけに今までの生き方や周りの人たちとの関係性を見つめ直して欲しいという主人公へのメッセージのようにも感じました。

おわりに

「公衆電話で3回だけ電話をして脱出を目指す」という一見シンプルな謎解きに見えて、ストーリー中でしっかりと伏線を回収しつつプレーヤーに訴えかけるものがある深いゲームです。気になった方はぜひプレイしてみて下さい。

 

最後までお読み下さりありがとうございました。