はことふね

主にゲームのレビューや考察をしています。

MENU

【点鬼簿行路】ゲームレビュー/人形の首を折る少年

※本ページにはプロモーションが含まれている場合があります。

今回は、配給切符様が制作された『点鬼簿行路』の紹介とネタバレありのゲームレビューを書いていきます。この作品は、人形の首を集める少年の物語を描いたホラーゲームです。

この記事はこんな人におすすめ!

⚫︎じわじわと恐怖が来るようなホラーが好きな人

⚫︎暗くも美しい世界観をゲームで味わいたい人

⚫︎『点鬼簿行路』のレビューを知りたい人

※この記事はゲームのネタバレを含みますのでご注意下さい。

 

▼こちらのゲームの実況動画もあげております!

(ぜひ視聴・チャンネル登録お願いします!(。-人-。)  )

 

『点鬼簿行路』あらすじ

結島高校の演劇部に所属する少年、淵上は人形の首を折って集めている。詳しい理由はわからないが、同じ演劇部に所属する二年生の鏑木小夏に関係しているらしい。鏑木小夏は演劇部でやる予定の『点鬼簿行路』という劇の部内オーディションで認めてもらうために頑張っている。そんな中、あるニュースサイトに記事が出ていた。そのニュースとは…。

『点鬼簿行路』ゲーム情報

▼DL可能なサイトはこちら(ノベルゲームコレクション)

●製作者:配給切符

●ジャンル:ホラーテキストアドベンチャー

●プレイ時間:1時間程度(全エンディング回収時)

●エンディング:2種類(選択肢によって分岐)

ゲームの特徴・評価

美しく陰鬱な世界観が特徴的

主人公の淵上は人形の首のみを集めて保管しておりその光景と執着心は一見、異常にしか見えない。そして全体的に淵上の陰鬱な感情を反映したかのような雰囲気がこの物語には漂っている。

しかしストーリーを読み進めるうちに、亡くなった小夏先輩への一途で悲痛な想いが彼の「人形の首を集める」という言動に込められていることを知り、グラフィックの美麗さも相まってこの物語の世界観全てを美しく感じてしまう。

驚かし要素は少ないが恐怖感は十分

「人形の首を折るか折らないか?」を選択する際に人形の生首が降りてくる場面など、一部ビックリするところもあるが、基本的に目立った驚かし要素は少なめだ。

だが小夏先輩が首を吊りそれを淵上が発見した時の様子や、彼が首を切り落とし持ち去る時の心情などを表した文章表現が非常にリアルで、人物の絵が無くても文字だけでその時の状況を想像しやすいため、背後からじわじわと忍び寄るような恐怖を味わうことができる。

変わりゆくヒロインの様子に注目

小夏先輩は『点鬼簿行路』のまり子の役を誰よりも上手に演じるために、まり子と同じ行動を取り始めてしまうのだが、彼女の変貌ぶりには思わずゾッとしてしまうものがある。

まり子が薬物中毒になり犯罪に手を染めていく様子を小夏先輩が自分の身でもって表現する様が、ボイス担当の声優さんによる迫力ある演技で迫ってきて、引き込まれてしまう。

『点鬼簿行路』ストーリーについて

小夏は救われたのか

淵上が小夏先輩の遺体から首を切り落としたことを小夏先輩への救済と取るか冒涜と取るかは意見が分かれそうなところではあるが、結果的には救済だったと私は思う。

淵上の前に現れ会話する小夏先輩は幽霊かつ淵上の願望から生じた可能性があり「自分が首を切り落としたこと」を正当化したい気持ちが反映されているかもしれないが、エンディングは「人形の首を折る」を選択し続けた結果の方がTRUE ENDと考えられるからだ。

小夏先輩は『点鬼簿行路』の役を演じていた当時、誰よりも「まり子になりたい」と願っていた。おそらく小夏先輩は誰かに褒められたり認められるだけでなく、愛されたかったのだと思う。たとえ歪んだ愛であっても、男に愛されていたであろうまり子が羨ましかったのではないだろうか。最初は演技のためでも、最後は自分のためにまり子になろうとしたような気がする。

だからこそ最後まで彼女をまり子と同じにするため、首を切断して持ち去り海で2人だけの挙式をしたことと、首だけになっても自分と一緒にいようとしてくれた人がいたという事実に彼女の魂は救われたと思う。(もちろん遺体損壊やその他淵上が起こした問題について、罪に問われるべきではある)

2人に違う未来はあったのか

淵上が小夏先輩の首と海で挙式するエンディングは、まともな形では叶わぬ悲恋のような仄暗くも美しい2人だけの世界が展開されておりとても好きだが、彼らの違う未来も見てみたい気持ちはある。

一部の役者には憑依型と呼ばれる、その役を演じるのではなく完全にその人に成り切ってしまうケースがあるようで、小夏先輩はそれに近い人物だと思う。

しかしその中でも踏み越えてはいけない一線を越えてしまうほど、彼女が周囲から認められるために追い詰められていたことも事実だろう。小夏先輩の行動のどこまでが事実でどこまでが思い込みだったかはわからないが、淵上が小夏先輩を助けてあげられたかもしれない、彼女のSOSを見逃してしまったかもしれないと深く後悔する気持ちはよくわかる。

ただ小夏先輩は誰よりも芝居が好きで、自分とは違う誰かになってみたいという強い気持ちがあった。だから「まり子」の役に限らずどんな人物の役でも「その人になりたい」と考えてしまうのではないか。遅かれ早かれこのような結末を迎えることは避けられなかったようにも思う。

おわりに

ストーリーの内容は衝撃的な部分も多いのですが、グラフィック・セリフの文章表現・声優さんのボイスと演技によって物語に引き込まれてしまうこと間違いなしの作品です。気になった方はぜひプレイしてみて下さい。

 

最後までお読み下さりありがとうございました。