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【彼女は最後にそう言った】レビュー・ストーリー考察/シンタローのループの意味を考える

※本ページにはプロモーションが含まれている場合があります。

今回はSYUPRO-DX様による「彼女は最後にそう言った」のレビュー・ストーリーの考察を紹介していきます。この作品は時間ループADVゲームです。

この記事はこんな人におすすめ!

●ループもののADVゲームが好きな人

●感動するストーリーをゲームで読みたい人

●このゲームの評価やストーリーの考察を知りたい人

※この記事はゲームのネタバレを含みますのでご注意下さい。

 

「彼女は最後にそう言った」あらすじ

主人公のシンタローは都会から離れた山奥にある「待宵村」に帰省した際、謎の多い事故で四年前に亡くなった同級生のナナミからの手紙を受け取る。シンタローは戸惑いながらも、ナナミの死と向き合って自分が前に進むため、死の真相を知るために行動することを決意する。ナナミの遺体はなぜ湖から見つかったのか?なぜナナミは村はずれにある湖まで行ったのか?ナナミの名を騙って手紙を出したのは誰なのか?など多くの謎を解決するため、シンタロウは祭りの日のループに巻き込まれつつ村人から様々な情報を集めていく。

「彼女は最後にそう言った」は何でプレイできる?

このゲームはスマホアプリでプレイ可能です。

 

iOS

彼女は最後にそう言った

彼女は最後にそう言った

  • SYUPRO-DX Inc.
  • ゲーム
  • 無料

Android

ゲームの特徴・評価

待宵村を探索してナナミの死の真相の手掛かりを見つけるゲーム

・ゲームのプレイ時間は1時間~1時間半程度。

・エンディングは分岐なしの1種類。

・2周目以降で過去改変&ナナミ救済ストーリーもプレイ可能。

・待宵村で同級生や村民と会話して収集した情報をもとにナナミの死の真相を探る。

簡単なタップ操作でストーリーは進行可能

タップ操作で行きたい方向に進んでいくシンプルな仕組みで、ストーリー進行に必要となる重要な会話をするキャラクターには「!」の吹き出しも出るので、探索は比較的進めやすいです。キャラクターはRPG風の可愛らしいドット絵のため、動きを見ているのも楽しいです。

過去を改変するナナミ救済ルートもあるのが嬉しい

1週目で辿り着くエンディングでは、シンタローが祭りの日のループを経て事件の真相を知り、ナナミの霊魂と祭りで再会して会話ができますが、ナナミの死は変えられない事実のままストーリーは終了します。

しかし、2周目以降はシンタローの机に天狗待宵花の押し花があり、これを調べると過去改変ルートに突入しナナミを死なせないエンディングが見られます。シンタローを含めた家族や同級生がナナミを失わなくて済むストーリーがあるのは、救いがあって嬉しい仕様です。

ナナミの死の真相と謎の手紙

ナナミの死の真相は不幸な事故でした。ナナミはシンタローの誕生日に「天狗待宵花」という、待宵村にしか咲かない幻の花をプレゼントしようとしていました。ナナミは洞窟に行き花を選んでいましたが、一緒に入って来たうさぎが落ちそうになったのをかばって転落し、溺れました。洞窟は湖とつながっていたため、湖にナナミの遺体が流れ着いたのです。

ナナミからの謎の手紙はシュウイチが出したものであり、手紙は生前ナナミがシンタローに送ろうとして渡せなかったものでした。手紙でシンタローを呼び出してナナミの死の真実を伝え、ナナミの遺体から取っておいた花を渡したいと考えていたのです。

「彼女は最後にそう言った」ストーリー考察

シンタローはナナミの死の真相につながる情報を集める中で、「祭りの日を繰り返す」という時間のループに巻き込まれてしまいます。またナナミの兄シュウイチも同じループに囚われていました。なぜ二人は何度もループし続ける期間が必要だったのでしょうか?また、ナナミの死を回避するために過去の世界でループし続けるのではなく、なぜ現在の世界でループしていたのでしょうか?ループし続けたシンタローとシュウイチ、それぞれの状況から考察していきます。

シンタローのループ

シンタローが祭りの日をループし続けていた理由は「少しずつナナミに関する記憶を取り戻す必要があったから」だと思います。ナナミの死はシンタローの心を深く傷付けており、ナナミと過ごした思い出を消すことで自分を守っていました。シンタローがナナミの死と向き合うことを決断する中で、一気に記憶が戻ったり情報が入ればパニックになるかもしれません。少しずつ過去の記憶やナナミの死の真相と対峙する時間を作ることで、シンタローが一歩一歩確実に前に進んでいく時間が必要だったのだと思います。

シュウイチのループ

シュウイチが祭りの日をループし続けていた理由は「時間をかけてナナミの死と罪悪感を乗り越えるため」だと思います。シュウイチはナナミを助けられなかったことをずっと後悔しており、ループは贖罪の時間だと考えていました。しかし実際はそうではなく、自分からシンタローに真実を話すことで妹の死を乗り越えようとする、という状態まで辿り着くのにある程度時間が必要だったからでしょう。

 

二人に共通するのは「ある一定の時間の必要性」だと思います。ナナミがそれぞれに対して「天狗待宵花を渡したい」「自分の死で苦しまないで欲しい」という願いを持ったことがループの発端になったようですが、その願いが「ループ」という形をとったのはそんな「一定の時間」を作り出すためだったのではないでしょうか。

現在の世界でループしていた理由

本ストーリーでは一週目から死ぬことを止めるためにループするのではなく、ループを経てナナミの死の真相を知った上で過去を改変しに行くという構成になっています。現在でループしていた理由はきっと、過去を改変するにはシンタローが「ナナミの死を受け止めていること」が必要だったからではないでしょうか。最初から四年前の世界でループしなかったのは、シンタローにナナミを救う上で冷静な判断や選択をさせるためだったと思います。

おわりに

シンタローが真実を知り、ナナミの想いに触れるシーンは本当に感動してしまいます。過去改変ルートで彼がどのようにナナミを救うのかは、ぜひプレイして直接見てみて下さい!こちらもシンタローの強い決意に心を打たれること間違いなしです。