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【ウミガメのスープに劇薬を】感想・レビュー/ウミガメのスープから真実に辿り着くホラーノベル

今回は摩訶子様による「ウミガメのスープに劇薬を」というホラーノベルゲームの感想・レビューを書いていきます。水平思考クイズであるウミガメのスープを題材にしたゲームで、ホラーな雰囲気のノベルゲームを楽しみたい人におすすめできます。

こちらの作品はFreemやノベルゲームコレクションからダウンロード可能です。

ノベルゲームコレクションのURLはこちら↓

novelgame.jp

※この記事はゲームのネタバレを含みますのでご注意下さい。

「ウミガメのスープに劇薬を」あらすじ

ある日由紀は友人の操から出されるウミガメのスープの問題をただ解いていた。突然、操からこんな問題が出される。

男は女に会いに、待ち合わせ場所へ向かった。

しかしその途中、女が男を迎えに来たので、二人は車に乗った。

だから男は永久に女と会えなくなった。

この状況を説明してください。

 

引用元:「ウミガメのスープに劇薬を」ゲーム内説明文(URL:https://novelgame.jp/games/show/8185

それはただの問題に見えて由紀に関係があるようだ。問題を解いた時、一体由紀は何を知ることになるのか…?

ゲームの操作感・特徴

・実際にウミガメのスープ問題を解くときのように、プレーヤーが選択肢を選びながら進む。

・エンディングは分岐なしの1種類。

・プレイ時間は20分~30分程度。

・操の発言に時々混じる意味深な言葉やセーブ画面の赤黒いおどろおどろしさから、バッドエンドになりそうな事件が起こることを予想できる。

ストーリーの感想

最初はウミガメのスープ問題に対して選択肢を選び、普通にクイズを解いていくだけのストーリーと見せかけて、段々と操の言葉が不穏になっていき最終的に真実に辿り着いていく時の緊迫感を楽しむことができます。そしてこのゲームの見どころは「操」が狂っていく場面にあると思います。

操の復讐

操の恋人である貴彦は、由紀によって無理やり心中に巻き込まれて命を落としました。助かったものの一部の記憶を失った由紀にすぐに手を下すのではなく、由紀が犯した罪を少しずつ思い出させて由紀に罪の意識をしっかりと持たせてから手を下すところに操の強い復讐心を感じました。

さらに最後は自分でいくつもの問題を出して自分で答え続け、真実を突き付けることで由紀を追い詰めるだけでなくウミガメのスープ問題に則り、由紀をスープにしようとします。次々と物騒な発言をし続ける操はもはや正気ではありません。

操:「質問!ウミコの得意料理はシチューですか?」

操:「【YES】!…ですが、これからは【NO】になります。なぜならシチュー以上に得意な料理ができるからです!」

操:「質問!それは、カメコのスープですか?」

操:「【YES】!ウミコは料理が上手なので、……とっても美味しく出来るのでした」

 

引用元:「ウミガメのスープに劇薬を」ゲーム内操のセリフ(URL:https://novelgame.jp/games/show/8185

※ウミコ=操、カメコ=由紀のことを指しています。

記憶喪失になる前の由紀は、執着した相手に対する強い心中願望があるなど非常に狂っている人物でしたが、恋人の死によって同じように狂った人間となってしまった操の描写がリアルで、立ち絵に表情は無いのに狂気に染まった操の表情が見えるようでした。

操のその後

由紀を手にかけた操はこの事件をきっかけに自分が狂ってしまったことをはっきりと自覚していました。そして「狂ってしまった自分のことも、貴彦は以前と変わらず愛してくれるはず」といった内容の言葉を自分に言い聞かせながらストーリーは終わります。どうしても貴彦の復讐を果たしたかったけれど、それは貴彦が望んだことではなかったかもしれないと葛藤したであろう操の苦しさがとても伝わるエンディングでした。操のその後に関する解釈はプレーヤーにゆだねられていますが、操は自ら命を絶ったのではないかと私は考えています。由紀の行動と同様に操の復讐もまた許されないことで、それを自覚しながら貴彦のいない世界で操が生き続けることは難しいのではないでしょうか。

おわりに

短い時間で読むことができる短編ノベルで、気軽にプレイ可能なゲームだと思います。

ちょっとした怖い話を読みたい方や、じわじわと恐怖が来るようなストーリーを読んでみたい方にぜひおすすめです!

 

最後までお読み下さりありがとうございました。